A.電気的に接触圧が必要なねじ
【適用規格】JIS C6950-1:2016 3.1.6項、2.6.5.7項、3.1.7項、3.1.8項
1.電気的に接触圧が必要なねじは、次のとおりとする。
(1)ねじは⾦属板、⾦属ナット⼜は⾦属インサートに、完全な2⼭以上のねじ山のかみ合わせがあること
(2)次の場合は、絶縁物製ねじを使用していないこと。
・保護接地を含み、電気的接続を⾏う場合
・⾦属ねじと交換すると、付加絶縁又は強化絶縁に悪影響を及ぼすおそれがある場合
(3)絶縁物製ねじが他の安全⾯に関与している場合、完全な2⼭以上のねじ山のかみ合わせがあること
2.保護接地機能接続を含めて、電気的接続部は、絶縁物を通して接触圧が伝わらないこと
但し、⾦属部に⼗分な弾性をもたせて、絶縁物の収縮⼜はひずみを補っている場合を除く。
3.保護ボンディング⽤のねじは、更に次の要求事項を満足すること。
(1)当該接続部分をサービス中に外す必要がない場合、次のタイプのねじを保護ボンディング⽤として使用しても良い。
・セルフタッピング(スレッドカッティング・スレッドフォーミング)
・スペーススレッド(シートメタル)
(2)ねじ接続は次の通りとする。
・ねじを通す場所の⾦属部分の厚さは、ねじ⼭のピッチの2倍以上であること。
(⾦属部分を部分的に突き出し実効厚を増やしてもよい)
・それぞれの接続のために、2個以上のねじを⽤いること。
但し、ねじを通す部分の⾦属部の厚さが、次の場合は、セルフタッピングねじを1個⽤いるだけでもよい。
スレッドフォーミングタイプ:0.9mm以上
スレッドカッティングタイプ:1.6mm以上
4.セルフタッピングねじ及びスペーススレッドねじは、次のとおりとする
(1)スペーススレッド(シートメタル)ねじは、通電部分の接続に使用していないこと。
但し、通電部分双⽅を直接接触させて締め付け、かつ、適切な緩み⽌めを施した場合を除く。
(2)セルフタッピング(スレッドカッティング・スレッドフォーミング)ねじは、次のとおりとする。
・通電部分の電気的接続に使用していないこと。但し、完全な標準機械ねじ⼭を形成する場合を除く。
・使⽤者⼜は設置者が動かすねじには、使用されていないこと。
但し、塑性変形(スエージング)によってねじ⼭を形成する場合を除く。
B.導体接続箇所
【適用規格】JIS C6950-1:2016 3.1.9項
1.導体の接続箇所は、次を満足すること。
(1)導体及びその端⼦(例:環形端⼦及び平形速結端⼦)は、通常使用時に沿⾯(空間)距離不足にならない手段
(例:バリア⼜は固定)があること
(2)半田付け端⼦接続は、半田付けだけに依存しないように導体を配置・固定すること。
(3)マルチウェイプラグ、ソケット及び短絡が発⽣するような箇所は、端⼦の緩みや接続部での電線離脱で、
SELV回路(TNV回路)と危険電圧部分が接触しないこと。
2.試験方法
(1)試験条件
・⼆つの独⽴した固定は、同時に緩むことはしない。
・セルフロックワッシャを備えたねじ、ナットや他のロック⼿段で固定された部分は緩むことはしない。
(2)試験方法
接続点近傍の導体に10Nの⼒を加える。
(3)判定基準
・離脱・端⼦を軸にした回転で、沿⾯(空間)距離の規定値を下回らないこと
・適合例
・電線及びその終端接続部に⽤いる密着したチューブ(例:熱収縮スリーブ⼜はゴムスリーブ)
・半田付けで接続し、かつ、半田付け接続とは別に終端接続部の近くで固定した導体
・半田付けで接続し、かつ、導体の通る孔が過度に⼤きくなく、半田付け前にフックインしている導体
・端⼦近傍で追加の固定をしているねじ端⼦に接続した導体
(より線は、導体だけでなく絶縁部も締め付けている。
・ねじ端⼦に接続した導体で、ねじが緩んでも外れないような端⼦(例:導体に圧着した環形ラグ端⼦)を
設けているもの。
・端⼦のねじが緩んでも、その位置でとどまる短くて硬い導体
C.接続端子
【適用規格】JIS C6950-1:2016 3.3.1項、3.3.2項、3.3.3項、3.3.4項、3.3.5項、3.3.6項、3.3.7項
1.恒久接続形機器・⼀般⽤⾮着脱式電源コードを持つ機器は、次のとおりとする
(1)ねじ、ナット類等で接続を⾏う端⼦があること。
(2)関連する全ての交流主電源⽤端⼦、主保護接地端⼦は互いに近くにあること。
但し、クラス0Ⅰ機器の外部接地端⼦を除く。
(3)全ての関連する直流主電源⽤端⼦は、次のとおりとする。
・互いに近くにあること
・主保護接地端⼦があり、システムへの適切な接地⽅法を⽰す設置指⽰書がある場合は、
主保護接地端⼦の近くになくてもよい。
2.外部主電源導体端子は次の通りとする
(1)ねじ・ナットは、次のいずれかのねじ山を持つこと
・JIS B0205-2又はJIS B0205-3に適合すること
・ピッチ及び機械的強度が上記JIS規格に相当するねじ⼭(例:ユニファイねじのねじ⼭)
(2)ねじ・ナットは、他のコンポーネントの固定に兼⽤しないこと。
但し、電源導体取付時に、内部導体が外れる恐れが無い場合は除く
(3)機器内組込コンポーネント(例:スイッチ)の端⼦は、「外部導体接続⽤の配線端⼦」に適合する場合、
外部主電源導体⽤端⼦として使用できる
3.端子サイズは、次のとおりとする
表:端⼦に接続できる導体⼨法の範囲 (抜粋)
機器の定格電流
(A) |
公称断面積(mm) |
可とうコード |
その他のコード |
3以下 |
0.5~0.75 |
1~2.5 |
3を超え6以下 |
0.75~1 |
1~2,5 |
6を超え10以下 |
1~1.5 |
1~2.5 |
10を超え13以下 |
1.25~1.5 |
1.5~4 |
13を超え16以下 |
1.5~2.5 |
1.5~4 |
16を超え25以下 |
2.5~4 |
2.5~6 |
(1)表「端子に接続できる導体寸法の範囲」規定の公称断⾯積を
もつ導体が接続できること。
(2)より太いゲージの導体は、端⼦もそれに応じた⼨法であること
(3)ピラー形、スタッド形⼜はねじ式端⼦は、
表「主電源供給導体及び保護接地導体⽤の端⼦の⼨法」規定の
最⼩⼨法以上でのものであること
JIS C3662規格群・JIS C3663規格群に適合する電線以外を
使用する時は、それに適した寸法の電線を接続できる端子と
する。
4.
配線端⼦は、次のとおりとする。
(1)⼗分な接触圧があり、導体に損傷を与えないよう⾦属表⾯間で導体を固定していること。
(2)固定⽤ねじ・ナットを締め付けたときに、導体が滑り出さないこと。
(3)導体の固定に適した⾦具があること(例:ナット、座⾦)。
(4)導体の固定⼿段を締め付けるか⼜は緩めたときに、次の全てが満⾜できるように固定されていること
・端⼦⾃⾝が緩まない。
・内部配線にストレスを与えない。
・沿⾯(空間)距離の規定値未満とならないこと
5.⾮着脱式電源コードの接続
(1)特殊⽤⾮着脱式電源コードをもつ機器が、個々の導体を内部配線に接続するとき、通常負荷で動作中に許容温度限度を
超えないような信頼のおける電気的・機械的⼿段で接続されていること。
(2)接続部の温度が表「材料及びコンポーネントの温度限度」の値を超えないこと。
D.より線
【適用規格】JIS C6950-1:2016 3.3.8項
1.より線の導体に接触圧が加わる場所は、次のとおりとする。
(1)より線の終端を溶融半田で固めないこと。
但し、締付⽅法を半田のコールドフロー(低温流れ)による接触不良が⽣じないように設計している場合を除く。
(2)コールドフローを補うばね端⼦は、この要求事項を満⾜するとみなす。
(3)締めねじが回転しないように対策しても、適切とはみなさない。
2.端⼦は、可とう電線を固定するときに素線の1本が抜け出しても、次のものと偶然の接触が⽣じないこと。
・アクセス可能な導電部
・付加絶縁だけでアクセス可能な導電部から分離した接地していない導電部
3.試験による確認
(1)試験方法
・適切な公称断⾯積をもつ可とう導体の端から絶縁被覆を⻑さ約8mm取り除く。
・より線導体の素線1本を離し、他の素線を端⼦に完全に挿⼊して締め付ける。
・これ以上絶縁被覆を破らずに、固定していない素線を可能な全ての⽅向に曲げる。
但し、ガードの回りに鋭く曲げない。
(2)判定基準
次の部分に接触しないこと
・危険電圧が加わる導体で固定していない素線は、あらゆるアクセス可能な導電部・アクセス可能な導電部に
接続した導電部
・⼆重絶縁機器は、付加絶縁でアクセス可能な導電部から分離したあらゆる導電部
・導体を接地端⼦に接続する固定していない素線は危険電圧部分。
E.部品の固定
【適用規格】JIS C6950-1:2016 4.3.4項
1.ねじ、ナット、座⾦、ばね類が緩むことで、次のような危険がある場合、通常使⽤時に発⽣する機械的ストレスに
耐えるように、確実に固定されていること。
・危険が⽣じる恐れがある場合
・付加絶縁・強化絶縁を介しての沿⾯(空間)距離の規定値未満となるおそれがある場合
・クラス0Ⅰ機器は、緩むことで基礎絶縁の沿⾯(空間)距離の規定値未満となるおそれがある場合、
2.試験条件
(1)⼆つの独⽴した固定⽅法は、同時に緩まない。
(2)セルフロック座⾦等の緩み⽌め機構を⽤いたねじ・ナットで固定されている部分は、緩むおそれがないものとみなす。
(3)ばね座⾦類は、⼗分な緩み⽌めを備えているものとみなす