技術基準:IEC-J60065(AV機器) その他の電気性能
家庭用機器 
(IEC-J60335-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

情報機器
(IEC-J60950-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

AV機器
(IEC-J60065)

1.表示・説明書

2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC
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はじめに

  ここでは、次の試験概要について説明します
     1.電源刃残留電荷測定
     2.サージ試験
     3.絶縁抵抗測定
     4.耐電圧試験
     5.接地アース連続性試験
     6.消費電力・消費電流測定
     7.危険な活電部の決定
     8.耐湿絶縁試験


A.電源刃残留電荷測定
  
 【適用規格】JIS C6065:2019 9.1.1.2a)項、9.1.6項
1.測定対象
   ・主電源プラグを用いて電源に接続する機器(おす形の相互接続カプラ、機器⽤カプラは主電源プラグとみなす)
   ・主電源両極間の公称容量が0.1μF以下の場合は適用しない。

2.測定条件
  (1)定格電圧で、巻線内部温度を含め、各部の温度上昇が飽和するまでエージングを行う。
  (2)主電源スイッチは、オン位置がより不利な条件にならない限りオフ位置にする。
  (3)25pF以下の⼊⼒容量及び100±5MΩの抵抗値を並列にした⼊⼒インピーダンス⼜は同等の⼊⼒インピーダンスを
     もつ測定器を⽤いる
  (4)14.2規定に適合しないブリーダ抵抗(放電⽤抵抗を含む)は、測定中、⼀度に⼀つずつ開放する。

3.試験方法
  (1)主電源プラグを引き抜いてから2秒後の電源プラグの刃相間電圧を測定する。
  (2)10回繰り返す

4.判定基準
   刃相間電圧は35Vpp未満であること


B.サージ試験
  【適用規格】JIS C6065:2019 10.2項
1.試験箇所
  クラス0Ⅰ機器及びクラスⅡ機器
   ・アンテナ接続端⼦~主電源供給端⼦間
   ・アンテナ端⼦付の他機器に電源電圧を供給する機器は、主電源供給端⼦~その他の端⼦間

2.試験方法
 (1)図5a)の試験回路に接続する。(機器は通電しない)
 (2)10kVに充電した1nFのコンデンサから最⼤毎分12回の割合で50回放電を⾏う。

3.判定基準
  10.4規定の要求事項に適合すること


C.絶縁抵抗測定
   【適用規格】JIS C6065:2019 10.4.2項
1.試験条件
 (1)直流500Vでの絶縁抵抗計を用いる
 (2)取り外しておいた部品を再度組み立てた後で行う。
 (3)絶縁材料性エンクロージャを試験する場合、可触部に⾦属箔をしっかりと押し付ける。
 (4)試験対象箇所と並列接続した14.2項14.3.2及び 14.3.3項に適合する抵抗器、コンデンサ及びRCユニットは取り外す
    試験を妨げることがない限り、インダクタ及び巻線も取り外す

2.試験方法
 (1)接続1分後に絶縁抵抗を測定する

3.判定基準
   表:耐電圧試験の試験電圧及び絶縁抵抗値の規定値以上であること

表 耐電圧試験の試験電圧及び絶縁抵抗値
絶縁 絶縁抵抗 (MΩ) 交流試験電圧(ピーク)又は直流試験電圧
主電源に直接接続した異極相互間 2 交流主電源電圧≤150V(実効値):1410V
交流主電源電圧>150V(実効値):2120V
基礎絶縁又は付加絶縁によって分離した部分間 図7の曲線A
強化絶縁によって分離した部分間 図7の曲線B









           注記:図7の曲線A、Bは、ぞれぞれ次の点を通る

表 耐圧試験電圧曲線
動作電圧
U(ピーク)
試験電圧(ピーク)
曲線A 曲線B
35V 707V 1410V
354V 4240V
1410V 3980V
10kV 15kV 15kV
10kVを超え 1.5U V 1.5U V



D.耐電圧試験
    【適用規格】JIS C6065:2019 10.4.3項
1.試験条件
 (1)試験電圧は、「表:耐電圧試験の試験電圧及び絶縁抵抗値」規定の
    電圧とする。
 (2)取り外しておいた部品を再度組み⽴てた後で行う。 
 (3)絶縁材料性エンクロージャを試験する場合、
    可触部に⾦属箔をしっかりと押し付ける
 (4)試験対象箇所と並列接続した14.2項14.3.2及び 14.3.3項に適合する抵抗器、コンデンサ及びRCユニットは取り外す
    試験を妨げることがない限り、インダクタ及び巻線も取り外す
 (5)可触導電部は⼀緒に接続してもよい。
 (6)薄いシート状絶縁材料の耐電圧試験を⾏う装置を図6に⽰す。
    ・短絡しても感電の危険の原因とならない絶縁には⾏わない。
      (例)絶縁変圧器の⼆次巻線の⽚側が可触導電部につながっている場合、もう⼀端は、同じ可触導電部に関する
         絶縁要求事項に適合する必要はない。

2.試験方法
    規定試験電圧の半分以下の電圧を印加し、その後、規定値まで急速に上げ1分間維持する

3.判定基準
    フラッシュオーバ⼜は絶縁破壊が⽣じないこと。



E.接地アース連続性試験
      【適用規格】JIS C6065:2019 15.2項
1.試験条件
 (1)交流⼜は直流25Aの試験電流で1分間⾏う。
 (2)試験電圧は、12V以下とする。
 (3)主電源コードの保護接地導体の抵抗値は、抵抗値測定時に含めない。

2.試験方法
 (1)保護接地端⼦・接点と、これに接続することを要求する部分との間の電圧降下を測定する。
 (2)抵抗値を電流及びこの電圧降下から算出する。

3.判定基準
  保護接地端⼦・接点とこれに接続することを要求する部分との間の接続抵抗は、0.1Ωを超えないこと。


F.消費電力、消費電流測定
   【適用規格】JIS C6065:2019 4.2.2項、5.2項
1.測定条件
 (1)定格電圧で測定する。
 (2)テレビジョンセットの測定は、次の設定を適⽤する。
    ・“三縦じま信号”は、JIS C6101-1の3.2.1.3(三縦じま信号)に定義したものを⽤いる。
    ・使⽤者アクセスできる映像コントロールは、最⼤の消費電⼒になるように調整する。
    ・⾳声の設定は4.2.5 a)項の規定による。

2.判定基準
   定格消費電力⼜は定格消費電流は、定格電圧で測定し表⽰値の110%を超えてはならない。


G.危険な活電部の決定
   
【適用規格】JIS C6065:2019 9.1.1.2項
1.測定箇所
 (1)あらゆる⼆つの部分間⼜は接点間
 (2)いずれかの部分⼜は接点と試験中に⽤いる電源のいずれか⼀⽅の極間

2.測定箇所が次の条件を満たす場合、端子の一部または接点は危険な活電部と判断する。
 (1)開路電圧が、次の値を超える部分
    ・交流 35V(ピーク)⼜は直流60V
    ・オーディオ信号端子
      専門家⽤機器:120V(実効値)、専⾨家⽤機器以外:71V(実効値)

 (2)上記(1)項の限度値を超える場合には、以下を適用する
   a)附属書D規定の測定回路網で、IEC 60990規定のタッチカレントに対応する電圧U1及びU2が次の値を超える場合
     ・交流の場合:U 1=35V(ピーク)及び U2=0.35V(ピーク) 
             ⇒ 100kHzを超える周波数に対して交流70mA(ピーク)及び交流0.7mA(ピーク)
     ・直流の場合:U 1=1.0 V ⇒ 直流2.0mAに相当
    ⼤地へのタッチカレント(実効値)は、次の規定値を超えないこと。
     ・クラスⅠ構造:3.5mA 、クラス0Ⅰ機器:1.0mA

   b)電源遮断直後、電源接続端⼦に対する放電量が次の場合は、危険な活電部とする。
     ・直流60V〜15kVの電圧で蓄積する機器:電荷が45μCを超える。
     ・直流15kVを超える電圧で蓄積する機器:放電エネルギーが350mJを超える。


H.耐湿絶縁試験
   【適用規格】JIS C6065:2019 10.3項
1.試験条件
 (1)機器は次の状態にする
    ・ケーブル取入口、ノックアウトは開けておく。
    ・⼿で取外すことができる電気部品、カバー等は取り外し、主要部分とともに湿度処理を行う。
    ・通電はしない
 (2)湿度処理条件
    ・相対湿度(93±3)%、温度20~30℃の空気対流がある恒湿槽で⾏う。温度は±2℃を維持する。
    ・処理時間:2⽇間(48時間)
 (3)防まつ機器
    ・JIS C 0920の14.2.4a)に従う
    ・処理時間:7日間(168時間)

2.試験方法
 (1)湿度処理温度~+4℃の恒温槽で4時間以上放置する。
 (2)湿度処理条件に放置する
 (3)10.4項既定の絶縁試験(絶縁抵抗測定耐電圧試験)を行う

3.判定基準
 (1)湿度処理後に、安全性上の不具合につながる損傷がないこと
 (2)10.4項既定の絶縁試験(絶縁抵抗測定耐電圧試験)に適合すること
 (3)機器内に⼊り込んだ可能性がある⽔が、この規格に不適合となる損傷の原因とならないこと。
    特に、沿⾯距離を規定する絶縁部に、⽔の形跡がないこと


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