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1.危険電圧からの保護
【適用規格】JIS C6950-1:2016 6.1.1項
(1)ネットワーク線に直接接続する機器内部回路は、SELV回路⼜はTNV回路に適合すること。
(2)機器内部回路を接続するネットワーク線の保護をその機器の保護接地に依存する場合は、
設置説明書などに、保護接地を確実に⾏う旨記載されていること。
2.ネットワーク線の接地からの分離要求事項
【適用規格】JIS C6950-1:2016 6.1.2.1項、6.1.2.2項
(1)要求事項
例外事項に該当しない場合、次の部分間は絶縁されていること。
ネットワーク線と接続する機器内部回路 ~ 供試機器内⼜は他機器を介して接地される部分(回路部)間
【例外事項】
・恒久接続形機器、タイプBプラグ接続形機器
・サービス従事者が設置する機器で、設置指⽰書に必ず保護接地接続があるコンセントに機器を
接続する必要がある旨の記載があるもの
・恒久的な保護接地導体接続のための備えがあり、その導体を設置するための説明書を備える機器
(2)絶縁部を橋絡するサージ抑制器は、次の式に⽰す最⼩動作定格電圧 Uop(例:GDTの放電開始電圧)をもつこと
Uop=Upeak+ΔUsp+ΔUsa
Upeak: 次のいずれかの値とする。
・公称交流主電源電圧が130Vを超える場所に設置する機器:360V
・他の全ての機器:180V
ΔUsp: コンポーネント⽣産ばらつきを考慮した定格動作電圧の最⼤増加分。
コンポーネント製造業者による定格表示が無い場合、その定格動作電圧の10%とする。
ΔUsa: 機器の予測寿命期間にわたる部品の⽼化による定格動作電圧の最⼤増加分。
コンポーネント製造業者による定格表示が無い場合、その定格動作電圧の10%とする。
(3)試験条件
(a)空間距離、沿面距離、絶縁物の⼨法及びび構造に関する要求事項
(b)絶縁部に、「耐電圧試験」を⾏う。
交流主電源から電源供給を受けているか否かにかかわらず、交流試験電圧値は、次による。
・公称交流主電源電圧が130Vを超える場所に設置する機器: 1.5kV
・他の全ての機器: 1kV
(c)判定基準
・所定の位置に取り付けたままの絶縁を橋絡するコンポーネントに損傷がないこと
・絶縁破壊が⽣じないこと。
(4)コンデンサ以外で当該絶縁部を橋絡しているコンポーネントは、取り外して「耐電圧試験」を⾏うことができる。
全コンポーネントを所定の位置に取り付け、図「ネットワーク線に接続する機器内部回路と⼤地との間の分離試験」
の試験回路を⽤いた追加試験を行う。
図:ネットワーク線に接続する機器内部回路と⼤地との間の分離試験
(5)交流主電源から電⼒を受ける機器は、定格電圧⼜は定格電圧範囲の上限電圧に等しい電圧で試験を⾏う。
(6)直流主電源から電⼒を受ける機器は、機器を⽤いる地域の交流主電源の最⼤公称電圧で試験を⾏う。
(7)図「ネットワーク線に接続する機器内部回路と大地との間の分離試験」に流れる電流は、10mAを超えてはならない
3.ネットワーク線からの過電圧に対する機器使⽤者の保護(分離要求事項)
【適用規格】JIS C6950-1:2016 6.2.1項
(1)TNV-1回路⼜はTNV-3回路と機器の次の部分間が電気的に分離されていること。
(a)⼿に持つ可能性がある⼜は通常使⽤状態で人が継続して接触する接地されていない導電部分及び⾮導電部分
例:電話機のハンドセット・ヘッドセット、コンピュータのパームレストの表⾯
(b)テストフィンガで接触できる部分及び回路部。
但し、テストプローブで接触できないコネクタ接点を除く。
(c)他の機器接続用のSELV回路、TNV-2回路⼜は制限電流回路。(⼈がアクセス可能か否かにかかわらない)
(2)回路解析・機器調査で適切な保護を他の⼿段で確保していることが明確な場合適用しない。
例:各々の回路が保護接地に恒久接続された⼆つの回路間
(3)空間距離、沿面距離、絶縁物の⼨法及びび構造に関する要求事項
4.試験と判定基準
【適用規格】JIS C6950-1:2016 6.2.2項、6.2.2.1項、6.2.2.2項、6.2.2.3項、附属書S.1項、S.2項、S.3項
(1)耐電圧試験
(a)信号変成器等明らかに分離要求事項を満⾜するためのコンポーネントに試験を適⽤する場合、次のとおりとする
・その他のコンポーネント、実装⽤デバイス⼜は配線で当該コンポーネントをバイパスしないこと
・但し、これらのコンポーネント(配線)が、本項に適合する場合を除く。
(b)試験条件
ネットワーク線に接続する全ての導体は、接地が必要な導体を含め、図「試験電圧の印加箇所」のように
まとめて接続する。
図:試験電圧の印加箇所
・「他の機器接続用のSELV回路、TNV-2回路⼜は制限電流回路」に関連する試験は、
他の機器に接続する全ての導体もまとめて接続する。
・⾮導電部は、その表⾯に⾦属箔を接触させて試験を⾏う。接着性⾦属箔は、導電性接着剤を使用する。
(2)インパルス試験
(a)インパルス発⽣器(表N.1参照1)を⽤いて、電気的分離箇所に、インパルスを交互の極性で10回印加する。
(b)一連のインパルス間隔は60秒で、Ucは次による。
(3)定常状態試験
電気的分離箇所に、「耐電圧試験」を⾏う。
交流試験電圧の値は、次による。
*1 サージ抑制器を機器の外部コンポーネントとして試験したときに、
サージ抑制器が(2)インパルス試験を満⾜する場合は、サージ抑制器を取り外してもよい。
(4)判定基準
(a)インパルス試験、定常状態試験中、絶縁破壊がないこと。
(b)電流が制御できない状態に急激に増加したとき、絶縁破壊が⽣じたとみなす。
(c)試験中にサージ抑制器が作動(⼜はGDT内で放電が発⽣)した場合は、次による。
(d)インパルス試験での絶縁部の損傷は、次のいずれかで検証する。
・インパルス印加中のオシログラムによる観測。
サージ抑制器の作動⼜は絶縁破壊は、オシログラムの波形から判定する。
【参考】
試験⽤の機器は、次による。
・附属書Nに基づくインパルス発⽣器
・帯域幅が数MHzのストレージオシロスコープ
・補正素⼦付き⾼圧プローブ
必要な数のインパルスを供試機器に加え、波形を記録する。
・全てのインパルス印加後、絶縁部の絶縁抵抗試験によって確認する。
絶縁抵抗を測定するときは、サージ抑制器を外してもよい。
試験電圧の値は、直流500Vとする。
但し、サージ抑制器を所定の位置に取り付けている場合、サージ抑制器の動作電圧・点弧電圧よりも
10%低い値とする。
絶縁抵抗は、2MΩ未満でないこと
5.ネットワーク配線システムの過熱保護
【適用規格】JIS C6950-1:2016 6.3項
(1)ネットワーク配線システムを通して、離れた場所の機器に電源を供給する機器は、いかなる負荷条件においても、
過熱によりネットワーク配線システムに損傷を与えないように出⼒電流が制限されていること。
(2)機器から連続して流れる電流は、当該機器の設置説明書に指定された最⼩線径の電線に適した電流限度値を
超えないこと。
ネットワーク線⽤配線に⽤いる電線の最⼩直径は0.4mmで、多芯ケーブルに連続して流すことができる電流限度値は
1.3Aである。
(3)電源の固有インピーダンスで電流を制限する場合は、短絡を含むあらゆる抵抗性負荷に流れる出⼒電流を測定する。
試験開始から60秒後の電流は、電流限度値を超えてはならない。
(4)特定の時間-電流特性をもつ過電流保護デバイスで電流制限する場合は、次による。
(a)電流限度値の110%の電流を通電した場合、60分以内に遮断する時間-電流特性をもつ過電流保護デバイスで
あること。
(例)JIS C8269-2規定のタイプgD・タイプgNヒューズの時間-電流特性は、上記の電流限度値に適合する
定格1AのタイプgD・タイプgNヒューズは、1.3Aの電流限度値に適合する。
(b)過電流保護デバイスを短絡した状態で、短絡を含むあらゆる抵抗性負荷に流れる出⼒電流は、
試験開始から60秒後に測定したとき1000/U以下であること。
Uは負荷回路を全て切り離した状態で1.4.5項に従い測定したときの出⼒電圧の値とする
(5)特定の時間-電流特性をもたない過電流保護デバイスで電流制限する場合は、次による。
(a)試験開始から60秒後に測定した短絡を含むあらゆる抵抗性負荷を流れる出⼒電流は、電流限度値を超えないこと
(b)過電流保護デバイスを短絡した状態で、短絡を含むあらゆる抵抗性負荷に流れる出⼒電流は、
試験開始から60秒後に測定したとき1000/U以下であること。
Uは負荷回路を全て切り離した状態で1.4.5に従って測定したときの出⼒電圧の値とする
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