J60950：安全性電気性能：SELV回路の要求事項

１．一般要求事項
　　　　【適用規格】JIS C6950-1:2016　2.2.1項

　　（１）通常動作状態及び単⼀故障発生時、接触しても安全な電圧であること。
　　（２）外部負荷が接続されていない状態（開放電圧）で、以下に記載する電圧の限度値を超えないこと。

２．通常動作状態での電圧の限度値
　　　　【適用規格】JIS C6950-1:2016　2.2.2項

　　（１）単独SELV回路内のいずれか⼆つの導体間電圧、相互接続したSELV回路のいずれか⼆つの導体間電圧及び
　　　　　SELV回路のいずれかの導体と⼤地間電圧は、通常動作状態でピーク42.4V⼜は直流60Vを超えないこと。

　　（２）通常動作状態でのSELV回路の電圧限度値は、ELV回路の限度値と同じである。
　　　　　故障状態では、SELV回路は追加の保護を備えたELV回路とみなしてもよい。

３．故障状態での電圧の限度値
　　　　【適用規格】JIS C6950-1:2016　2.2.3項

　　（１）SELV回路及びアクセス可能な導電部の電圧規定で許容するものを除く

　　（２）単⼀故障、単独SELV回路内のいずれか⼆つの導体間電圧、相互接続したSELV回路間のいずれか⼆つの導体間電圧及び
　　　　　SELV回路のいずれかの導体と⼤地間電圧は、ピーク 42.4V⼜は直流60Vを超えないこと。

　　（３）200ms以下の場合、次に⽰す条件でピーク120V⼜はピーク71Vまで上昇してもよい
　　　　　　　　・t1の間、⼀度だけパルスがV1を超える場合、ピーク120Vの限度値を適⽤する。
　　　　　　　　・t1の間、複数回パルスがV1を超える場合、ピーク71Vの限度値を適⽤する。

　　（４）故障後に繰返性パルスをもつ場合（例：電源の“間⽋発振”モード）、V1を超える（V2を超えない）繰返性パルスは、　　　　　次の条件で許容する。
　　　　　　　　・t1が20ms以下の場合、t2は1秒間を超える。
　　　　　　　　・t1が20msを超える場合、t2は3秒間を超える。
　　　　　　　　・t1は200msを超えない。

　　（５）「４．SELV 回路とその他の回路との接続」で許容するものを除き、SELV回路は、「危険電圧からの分離」に
　　　　　規定する構造の⼀つ⼜は複数で危険電圧部分から分離されていること。

　　（６）回路（例：変圧器及び整流器からなる回路）のある部分が、SELV回路の全ての要求事項に適合する場合は、
　　　　　操作者がアクセスできてもよい
　　　　　同じ回路の別の部分がSELV回路の全ての要求事項に適合しない場合は、操作者がアクセスできてはならない。

４．SELV 回路とその他の回路との接続
　　　　【適用規格】JIS C6950-1:2016　2.2.4項

　　（１）SELV回路は、次の全てを満足する場合、他の回路に接続することができる。
　　　　　　・「交流主電源と他回路間を⼆重絶縁・強化絶縁で橋絡する抵抗器」及び「制限電流回路から他の回路への接続」で
　　　　　　　　許容する場合を除き、機器内のいずれの⼀次回路（中性線を含む）から基礎絶縁で分離されていること。

　　　　　　・通常動作状態で、「通常動作状態での電圧の限度値」を満⾜すること。

　　　　　　・SELV回路及びアクセス可能な導電部の電圧規定を除き、SELV回路の絶縁の単⼀故障⼜は
　　　　　　　SELV回路を接続している⼆次回路の絶縁の単⼀故障時に、「故障状態での電圧の限度値」を満⾜すること。

　　（２）SELV回路を⼀つ以上の回路と接続する場合、「通常動作状態での電圧の限度値」及び
　　　　　「故障状態での電圧の限度値」を満⾜する部分がSELV回路と解釈する

　　（３）次のいずれかで危険電圧回路から分離した⼆次回路から導電的に電源供給を受けるSELV回路は、同じ⽅法で、
　　　　　危険電圧回路から分離しているとみなす。
　　　　　　　　・⼆重絶縁⼜は強化絶縁
　　　　　　　　・基礎絶縁で危険電圧回路から分離し接地した導電性遮蔽物の使⽤

　　（４）SELV回路が危険電圧⼆次回路から作られ、その危険電圧⼆次回路を⼀次回路から⼆重絶縁⼜は強化絶縁で
　　　　　分離している場合、単⼀故障状態で、「故障状態での電圧の限度値」を満足すること。

　　　　　変圧器内部の絶縁が、基礎絶縁に対する耐電圧試験に合格する場合に限り、単⼀故障状態を適⽤する⽬的で、
　　　　　危険電圧⼆次回路とSELV回路間の分離を⾏う変圧器内部の絶縁の短絡を、単⼀故障とみなす。