ここでは、次の2つにわけて、紹介します
1.絶縁物全般
2.固体絶縁物の可動部の強度試験
A.絶縁物全般
【適用規格】H27版:29.3項、29.3.1項、29.3.2項、29.3.3項、29.3.4項 3版H14:29.2項、29.3項、29.4項
1.絶縁物の厚さは次の値以上であること。
(1)付加絶縁 1 mm
(2)強化絶縁 2 mm
(3)1層で構成する強化絶縁の可触部分の厚さは、表19の規定値以上であること
2.材料構成は、次を満足すること、
(1)天然マイカなど剝がれ易いもの以外で二つ以上の分離層で構成されているときは、付加絶縁に対する16.3項
(耐電圧試験)に適合すること。
(2)付加絶縁は2層以上、強化絶縁は3層以上の材料で構成されていること
3.19項(異常試験)試験中、絶縁物の温度上昇が表3:最大通常温度上昇値の規定値を超える場合は、次に従うこと。
(H27版に適用)
(1)19項(異常試験)試験中の最高温度上昇値に50℃を加えた温度で、48 時間 JIS C60068-2-2:高温試験Bbを実施する
(2)高温試験終了時、室温冷却後、16.3項(耐電圧試験)を行い適合すること。
4.次の場合は、適用除外とする。(3版:H14に適用する)
(1)触れることができず、かつ、次のいずれかに適合する場合
・平常温度上昇試験の最高温度上昇値が、規定値以下であること
・最高温度上昇値に50K加えた値の温度に保った恒温槽に168時間放置後、16.3項(耐電圧試験)に適合すること
恒温槽内の温度及び室温まで放置冷却後の両方で試験を行う。
(2)オプトカプラは、オプトカプラ表面温度を測定し、最高温度上昇値に50Kを加えた温度で恒温槽処理を行う。
最も不利となる条件でオプトカプラを動作させて温度を測定する。
5.30 kHzを超える周波数の電圧が加わる絶縁物は、JIS C 60664-4 の6.3の規定又はa)~c)のいずれか厳しい規定を適用する
B.測定条件 (3版:H14に適用)
【適用規格】H27版:規定なし 3版H14:29.1項
1.機器用インレットの有る機器は、適当なコネクターを接続して測定を行う。
2.X型取付機器(特別に製作したコードを取付けたものを除く)は、表11規定の最大断面積を有する電源電線を取付けた場合
及び導体を接続しない場合の両方で測定を行う。その他の機器は、出荷状態で測定を行う。
3.ベルトがある機器は、以下に従うこと
(1)ベルトを所定の位置に取り付ける
(2)張り具合を変える装置は、その調整範囲のうち最も不利となる位置に調整する
(3)ベルトを取り外した状態でも測定を行う。
4.端子~可触金属部間の空間距離は、次を満足すること。
(1)ねじ・ナットを最大限に緩めた場合についても測定する。
(2)表13の規定値の50%未満にならないこと。
5.絶縁物で構成された外郭部分の細長い穴又は開口を通しての距離を測定する場合、次を満足すること。
(1)可触表面に接触させた金属箔までの距離を測定する。
(2)金属箔は、テストフィンガーで、隅など押し込むようにするが、開口の中には押し込まない。
6.導体(電熱素子用のものを除く)のあらゆる裸の部分、自動温度調節器などの装置の絶縁を施していない金属製キャピラリー
チューブのあらゆる部分並びに金属外郭の外側に力を加える。
7.PWBの導電パターン(端の部分を除く)は、次のとおりとする。
(1)印加電圧のピーク値が次の値を超えない限り、電位の異なる充電部相互間に関して規定値を以下にできる
・塵埃の堆積に対する保護がある場合:1㎜当たり150V以下。但し、最小距離 0.2 ㎜
・塵埃の堆積に対する保護がない場合:1㎜当たり100V以下。但し、最小距離 0.5 ㎜。
(2)電圧(ピーク値)が50V超える部分の沿面距離は、耐トラッキング指数が175を超える場合、上記減少値を適用する
(3)上記により求めた距離の値が、表の値を超える場合は、表の値を適用する。
8.オプトカプラ内部の沿面(空間)距離は測定しない。
9.該当部分の沿面(空間)距離を順次短絡した結果、19項(異常試験)の要求事項に適合する基礎絶縁のみで絶縁した
電位の異なる充電部相互間の沿面(空間)距離は、表に規定した値より小さな値とすることができる。
【適用規格】H27版:21.2項 3版H14:規定なし
1.試験条件
(1)以下に該当する固体絶縁の可動部分を試験箇所とする
・付加絶縁が1mm未満の部分
・強化絶縁が2mm未満の部分
・クラス0機器の基礎絶縁に用いる合成樹脂外郭の厚さが0.3mm未満の部分
(2)クラスⅡ構造の付加絶縁・強化絶縁は、平常温度上昇試験同様に飽和させておく
(3)試験に使用する硬化鋼のピン仕様は、次のとおりとする。
ピン先端部は40°の円すい形とし、丸みは半径0.25±0.02 mm とする。
2.試験方法
(1)硬化鋼のピンで絶縁表面に引っかき傷をつける
・水平に対し80~85度で保持し、その軸方向に10±0.5Nになるように負荷をかける。
・ピンを絶縁表面に沿って約20mm/sの速度で引いて、引っかき傷をつける。
・引っかき傷は、2 本平行につける。
互いに影響し合わないように十分に離した間隔にする
長さは絶縁の長さの約25%をカバーするようにする。
・同様に2本の引っかき傷を、最初の2本に対して90度の方向に付ける。交差しないようにする
(2)図7:テストフィンガネイルで、引っかき傷のついた表面を約10Nの力でこする。
(3)16.3項(耐電圧試験)を行う
(4)硬化鋼のピンを、表面のひっかききずの付いていない部分に、約30±0.5Nの力で垂直に押し当て、一方の電極として
用い、16.3項(耐電圧試験)を行う
3.判定基準
(1)テストフィンガネイルでこすったときに、材料の剝離など、他の損傷が発生しないこと
(2)16.3項(耐電圧試験)に耐えること
(3)硬化鋼のピンを電極とした耐電圧試験に耐えること
(4)クラス0機器の基礎絶縁は、別表第四1(2)レ(ロ)項に適合すること
【参考】・基礎絶縁の耐圧試験に適合すること、
・JISK5400(1979)「塗料一般試験方法」6.14に規定する鉛筆引っかき試験で、試験片の破れが試験板に
届かないこと
・ピンホールがないこと