家庭用機器 (IEC-J60335-1) |
1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC
情報機器 (IEC-J60950-1) |
1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC
AV機器 (IEC-J60065) |
ここでは、平常温度上昇試験について紹介します。
【適用規則】H27版:11.2項、11.3項、11.4項、11.5項、11.6項、11.7項、11.8項、22.13項1.測定条件
(1)手持型機器は、通常使用姿勢にする。
(2)埋込型機器は、取扱(据付)説明書に従って設置した状態にする。
(3)その他の電熱機器及びその他の複合機器
・床上・卓上に置かれる機器は、できるだけ壁に近づけて床上に置く
・壁取付機器は、通常使用時に起こり得るぐらいに一方の壁に近づけ、他方の壁、床又は天井の近くに取り付ける
・天井取付機器は、通常使用時に起こり得るぐらいに壁に近づけ、天井に取り付ける
・設置指示書等がある場合は、設置指示書等に従って設置する。
(4)その他のモーター駆動機器
・床上・卓上に置かれる機器は、水平支持台の上に置く
・壁取付機器は、垂直支持台に取り付ける
・天井取付機器は、水平支持台の下側に取り付ける。
(5)自動式コードリール付機器は電源コードを全長の1/3だけを引き出す。
(6)自動式コードリール以外のコード収納部を持つ機器で、運転中に電源コードを部分的に収納する場合は、
電源コードを50㎝だけ引き出す
(7)コンセントに差し込むための電源刃をもつ機器は、壁に取り付けた適切なコンセントに接続する。
(8)テストコーナー、支持台及び埋込型機器の取付台は、厚さ約20㎜の黒く光沢無しに塗った合板とする
(9)測定電圧
・電熱機器は、定格入力の1.15倍で運転する。
電圧の二乗に比例しない電熱機器は、規定の入力に相当する電圧で行う。
・モーター駆動機器及び複合機器は、定格電圧の0.94倍~1.06倍で最も不利となる電圧で運転する
(10)通常使用状態で最も不利な条件に相当する期間運転する。
巻線の内部温度を含め、製品の各部の温度上昇が飽和するまでエージングを行う。
2.測定箇所
(1)試験枠の壁・天井、床表面
試験板表面と同一面となるように埋め込まれた直径15mm、厚さ1mmの黒く塗った銅(黄銅)の小形円板の裏面温度
(2)巻線以外の電気絶縁物:絶縁破壊の可能性のある絶縁物表面
(3)規定されている各部品:測定箇所で最も高くなると予測される部分
(4)コードリール中心にできるだけ近い所、リールに巻付けたコードの一番外側の2巻との間
(5)多芯コードの線芯の分岐点及び絶縁電線が電球受金に入る所
(6)環境温度
・製品周囲より約50cm程度離れた製品の温度上昇の影響を受けないポイント。
・製品を置いている台上から高さ15cm程度の高さ
3.測定方法
(1)巻線
抵抗法にて巻線の抵抗値を測定し、計算により温度上昇値を求める。
巻線が均一でなかったり、測定困難な場合は、熱電対により測定してもよい
・製品の電源OFF10秒後、20秒後、30秒後の抵抗値を測定しグラフ化する。
・電源OFF直後(0秒後)の抵抗値をグラフの近似線で推測ずる
・抵抗値による温度上昇の計算式により温度上昇値を求めます。
Δt=(R2-R1)×(k+t1)/R1 - (t2-t1)
Δt:巻線の温度上昇値 R1:試験開始前の巻線の抵抗値
R2:測定時の巻線の抵抗値(グラフからの推測値)
k:定数、巻線が銅線の場合234.5、アルミニウム電線の場合225
t1:試験開始前の室温(環境温度) t2:測定時の室温(環境温度)
(2)巻線以外
直径が0.3 ㎜以下の熱電対を使用する
温度上昇値 = (熱電対の絶対値)ー (環境温度)
4.測定手順
(1)該当箇所に熱電対を貼る
(2)巻線の抵抗値が測定できるように、測定治具を接続し、巻線の抵抗値の初期値及び周囲温度を測定する。
(3)巻線の内部温度が飽和するまでエージングを行う。
(4)各部を測定する
5.判定基準
(1)温度上昇値が下表を満足すること。
(2)金属の温度上昇限度は、以下の部分にも適用する。
・厚さ0.1mm以上の金属コーティングを施した部分
・厚さ0.3mm未満の樹脂コーティングを施した金属部分
(3)保護装置が動作したり、封止コンパウンドは流出しないこと。
(4)モーター巻線が規定値を超える場合又は絶縁方式の階級に疑義を生じた場合は、附属書C(モータの劣化試験)に
より判定する
(5)ハンドル操作中に、“通常使用時に短時間だけ保持するハンドル”の規定値を超える部分に、接触しないこと
測定箇所 | 温度上昇値 単位:K |
巻線*1)及びJIS C 4003 に基づく巻線の耐熱クラスが次の場合: - 105(A) :A種絶縁 - 120(E) :E種絶縁 - 130(B):B種絶縁 - 155(F):F種絶縁 - 180(H):H種絶縁 - 200(N):200階級絶縁 - 220(R):220階級絶縁 - 250 :250階級絶縁 |
75 (65) 90 (80) 95 (85) 115 140 160 180 210 |
機器用インレットのピン: - 超高温用 - 高温用 - 低温用 |
130 95 45 |
据置形機器の接地端子を含む外部導体用端子。但し、電源コード付のものを除く。 | 60 |
スイッチ、自動温度調節器及び温度制限器の周辺*2) - Tマークなし - Tマーク付 |
30 T-25 |
電源コードを含め内部及び外部配線のゴム、ポリクロロプレン又は塩化ビニル絶縁*11) - 温度定格無し、温度定格が75℃以下の場合 - 温度定格(T)*10) 付、Tが75℃を超える場合 |
50 T-25 |
付加絶縁として用いるコードの被覆 | 35 |
コードリールの摺動接触部 | 65 |
電源コードをもたない据置形機器に対する固定配線用端子ブロック、又は 仕切の部分に接触するおそれがある電線の絶縁物 |
50*3) |
ガスケットその他の部分に用いる合成ゴム以外のゴムで、劣化することにより安全に影響を 及ぼすおそれがあるもの。 - 付加絶縁又は強化絶縁として用いている場合 - その他の場合 |
40 50 |
Tマーク付ランプホルダ: - T1表示付きのB15及びB22 - T2表示付きのB15及びB22 - 他のランプホルダ Tマークがないランプホルダ: - E14及びB15 - B22及びE26 - その他のランプホルダ及び蛍光灯用スタータホルダ |
140 185 T-25 110 140 *4) |
配線及び巻線以外の絶縁物*5) - 含浸処理又はワニス処理を施した繊維、紙又はプレスボード - 次のもので張り合わせた積層板 ・メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド又は フェノールフルフラール樹脂 ・ユリアホルムアルデヒド樹脂 - エポキシ樹脂で張り合わせたプリント回路板 - 次の成型品 ・セルローズ充塡材入フェノールホルムアルデヒド ・無機充塡材入フェノールホルムアルデヒド ・メラミンホルムアルデヒド ・ユリアホルムアルデヒド - ガラス繊維強化ポリエステル - シリコンゴム - ポリテトラフルオロエチレン - 付加絶縁又は強化絶縁として用いる純マイカ及び圧縮焼結磁器 - 熱可塑材*6) |
70 85 (175) 65 (150) 120 85 (175) 100 (200) 75 (150) 65 (150) 110 145 265 400 - |
木材一般*7) - 次の機器の木製支持台、試験枠の壁、天井及び床並びに木製キャビネット ・ 長時間連続運転の可能性がある据置形機器 ・ その他の機器 |
65 60 65 |
コンデンサの外面*8) - 最高動作温度(T)*9)表示付 - 次の最高動作温度表示なしの場合 ・ラジオ及びテレビジョンの妨害雑音抑制用小形磁器コンデンサ ・ JIS C 5101-14に適合するコンデンサ ・ その他のコンデンサ |
T-25 50 50 20 |
モータ駆動機器の外郭。但し、通常使用時に手で保持するハンドルは除く - 裸の金属製 - コーティングした金属製 - ガラス及び磁器製 - 厚さ0.3 mmを超える樹脂製 |
50 60 65 75 |
通常使用時に継続して手で保持するハンドル、ノブ、グリップ及び同等部分 - 金属製 - 磁器又はガラス製 - 成型材料、ゴム又は木製 |
30 40 50 |
通常使用時に短時間だけ保持するハンドル、ノブ、グリップ及び同等の部分(例:スイッチ) - 金属製 - 磁器又はガラス製 - 成型材料、ゴム又は木製 |
35 45 60 |
引火点がt ℃の油に接触する部分 | t-50 |
・記載以外の材料を用いる場合、その材料の耐熱試験で測定した温度特性を超える温度で使用することはできない。 ・規定した温度上昇値は25℃を基準としている。 ・スイッチ端子の温度は、附属書Hに従って試験する場合に測定する。 *1)・交直両用モータ、リレー、ソレノイド及び同等の部品の巻線の平均温度は、通常、巻線の熱電対取付点の 温度より高いという事実から、 抵抗法を用いた場合は( )がない値 熱電対を用いた場合は( )の値 を適用する。 ・バイブレータのコイル及び交流モータの巻線は、( )がない値を適用する。 ・プリント回路板上に取り付けた変圧器及びインダクタ内の巻線の温度上昇限度は、巻線の最大寸法が 断面又は長さが5mm以下の場合、巻線の絶縁の温度クラスから25Kを減じたものとする ・外被の内側と外側との間で空気の循環が起こらない構造のモータは、温度上昇限度値を5K緩和する。 密閉とみなすほどの覆いは必ずしも必要ない。 *2) Tは、部品又は部品のスイッチヘッドが作動することができる最高周囲温度である。 周囲温度は、当該部品表面から5mm離れたところで空気の温度が最も高くなる点の温度とする。 但し、自動温度調節器又は温度制限器を熱伝導部分に取り付ける場合、取付面に指定した温度限度(Ts)も 適用する。したがって、取付面の温度上昇を測定しなければならない。 温度上昇限度値は、機器内で発生する条件に従って試験したスイッチ又は制御装置には適用しない。 *3)この限度値は、7.12.3項に規定する説明書があれば、超えてもよい。 *4)温度上昇値の測定箇所は、JIS C 8105-1の表12.1による。 *5)( )内は、高温表面に固定する部分に適用する。 *6)熱可塑材は、30.1項の試験を行えるように温度上昇値を求める必要がある。 表に規定していない材料で、別表第四1(1)ロ(ハ)に適合するものは、温度上限値を満たすものとみなす。 *7)限度値は、木材の劣化に関するものであり、表面の最終仕上げの劣化は考慮していない。 *8)19.11項で短絡されるコンデンサに対する温度上昇限度値はない。 *9)プリント回路板に取り付けたコンデンサの温度表示は、技術シートの中で行ってもよい。 *10)JIS C3663 タイプ53及び57電源コードのT定格は60℃である。 JIS C3663 タイプ88 電源コードのT定格は70℃である。 JIS C3662 タイプ52及び53電源コードのT定格は70℃である。 JIS C3662 タイプ56及び57電源コードのT定格は90℃である。 *11) 該当するIEC 規格に適合するコード及び配線に適用する。 その他の場合、別表第四1(1)ロ(ハ)”に適合するものは、温度上限値を満たすものとみなす。 |