図:算術平均温度の算出法
技術基準:J60950-1(情報機器) モーターに対する要求事項
家庭用機器 
(IEC-J60335-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

情報機器
(IEC-J60950-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

AV機器
(IEC-J60065)

1.表示・説明書

2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC
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A.一般要求事項
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 5.3.2項

過負荷、回転⼦拘束などの異常状態で、モータは、温度が異常に⾼くなり、それがもとで危険が⽣じないように、
次のような設計であること
    ・回転⼦を拘束した状態で過熱しないモータを使⽤する(固有インピーダンス⼜は外部インピーダンスによる保護)
    ・許容温度限度値を超える恐れはあるが、危険を⽣じないモータの⼆次回路で使⽤する。
    ・モータに流れる電流を検出するデバイスを使⽤する
    ・内蔵した温度過昇防⽌器を使⽤する
    ・機能異常等が起きた場合に、異常温度上昇が⽣じないようにごく短時間でモータへの電源供給を遮断する検出回路を
     使⽤する


B.試験

1.適用する試験
   
 【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.1項

モータ(⼆次回路の直流モータを除く)は、次のとおりとする。
  (1)「過負荷運転試験」、「回転子拘束負荷試験」に適合すること。

  (2)該当する場合は、「コンデンサをもつモータに対する試験」「三相モータに対する試験」
     「直巻モータに対する試験」に適合すること。

  (3)次のモータは「過負荷運転試験」に適合しなくてもよい。
      ・空気制御だけに⽤いるモータで、送⾵⽤コンポーネントがモータの軸に直接接続してあるもの
      ・くま取り式モータで、回転⼦を拘束したときの電流が無負荷電流の2倍以下で、その差が1A以下のもの

  (4)⼆次回路の直流モータは、「⼆次回路に⽤いる直流モータに対する過負荷運転試験」
    「⼆次回路に⽤いる直流モータに対する回転⼦拘束過負荷試験」、「直巻モータに対する試験」に適合すること。
       ・本来の動作状態が、通常回転⼦拘束状態での動作となっているものを除く。 (例)ステッパモータ
       ・空気制御だけに⽤いる⼆次回路直流モータで、送⾵⽤コンポーネントがモータ軸に直接接続してあるものは、
        「⼆次回路に⽤いる直流モータに対する過負荷運転試験」に適合することを要求しない。

2.共通試験条件
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.2項

  (1)定格電圧⼜は定格電圧範囲の上限電圧で機器を動作させる

  (2)次のいずれかの状態で試験を行う。
       ・機器内部
       ・機器内の条件を模擬した試験⽤台(別サンプルを⽤いてもよい)。模擬条件には、次を含む。
           ・完成機器内でモータを保護する保護デバイスの使⽤
           ・モータフレームの放熱板としての役⽬を果たしている取付⼿段の使⽤

  (3)巻線温度は、平常温度上昇測定に基づいて測定する。
     (a)熱電対を⽤いる場合、モータ巻線表⾯に取り付ける。
     (b)規定時間後、温度を測定する。時間を規定しない場合は、次の時点で測定する。
          ・温度が⼀定になったとき
          ・ヒューズ、温度過昇防⽌器、モータ保護デバイス等が作動した時点。
     (c)全閉形のインピーダンス保護モータは、モータケースに熱電対を取り付けて温度を測定する。
     (d)固有温度の保護デバイスをもたないモータを模擬条件で試験する場合は、
        平常温度上昇測定の通常のモータ周囲温度を基に、測定した巻線の温度を補正する。

3.共通判定基準
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.3項

  (1
)最高温度は次のとおりとする。
     *耐熱クラス105から220に対してJIS C4003で割り付けられている指定文字、AからRを括弧書きで示す。
     (a)「回転子拘束負荷試験」⼆次回路に⽤いる直流モータに対する回転⼦拘束過負荷試験」
        「コンデンサをもつモータに対する試験」、「三相モータに対する試験」
           表「モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)」の耐熱クラス対応値を超えないこと

表:モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)  単位:℃
保護の方法 耐熱クラス
105
(A)
120
(E)
130
(B)
155
(F)
180
(H)
200
(N)
220
(R)
250
固有インピーダンス又は外部インピーダンスによる保護 150 165 175 200 225 245 265 295
最初の1時間以内に作動する保護デバイスによる保護 200 215 225 250 275 295 315 345
何らかの保護デバイスによる保護
  1時間経過以後の最高値
175 190 200 225 250 270 290 320
  1時間経過後の1時間及び71時間経過後の1時間の算術平均値 150 165 175 200 225 245 265 295











     (b)「過負荷運転試験」「⼆次回路に⽤いる直流モータに対する過負荷運転試験」
            表:過負荷運転試験時の許容温度の限度値の耐熱クラスの対応値を超えないこと。

表:過負荷運転試験時の許容温度の限度値  単位℃
耐熱クラス
105(A) 120(E) 130(B) 155(F) 180(H) 200(N) 220(R) 250
140 155 165 190 215 235 255 275






  (2)算術平均温度は、次のとおりとする。
     (a)モータへの電源のオンオフを繰り返し、
        当該試験期間の時間対温度のグラフを描く
        (図:算術平均温度の算出法参照)。

     (b)算術平均温度(tA)は、次式で求める。
          ta=(tmax+tmin)/2
               tmax: 最⾼値の平均値
               tmin: 最低値の平均値


4.過負荷運転試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.4項

  (1)
試験条件
      通常負荷で動作させる

  (2)試験方法
      a)モータへの供給電圧は最初の値にしたまま、負荷を徐々に増⼤して、段階的に電流を増加させる。
      b)定常状態に達した後、負荷を再び増⼤する。
      c)過負荷保護デバイスが作動するまで段階的に負荷を増⼤していく。
        ただし、「回転子拘束負荷試験」状態にはしない。
      d)各段階で、温度が⼀定になったときのモータ巻線の温度を測定する。

  (3)判定基準
      最⾼温度は、表「過負荷運転試験時の許容温度の限度値」を超えないこと


5.回転⼦拘束過負荷試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.5項

  (1)試験条件

     (a)室温と同じ周囲温度で開始する。

     (b)試験時間は、次のとおりとする。
         ・固有インピーダンス⼜は外部インピーダンスで保護するモータ
            ・回転⼦を拘束して15⽇間動作させる。
            ・モータ巻線温度の絶縁システムが、表「材料及びコンポーネントの温度限度」の規定値以下の場合
             巻線温度が⼀定となった時に終了してもよい。

         ・⾃動復帰形保護デバイスをもつモータ
             回転⼦を拘束して18⽇間運転する。
 
         ・⼿動復帰形保護デバイスをもつモータ
             回転⼦を拘束して、60回の繰返し運転を⾏う。
             保護デバイス作動後、できるだけ短時間で(30秒間以上間隔を取って)、保護デバイスを復帰させる

         ・復帰しない保護デバイスをもつモータ
             保護デバイスが作動するまで回転⼦を拘束して動作させる。

    (c)耐電圧試験の条件は次のとおりとする
         ・絶縁物を室温に戻した後に試験を⾏う
         ・試験電圧は規定値の60%の値とする。

  (2)試験方法
    (a)固有インピーダンス・外部インピーダンスで保護したモータ、⾃動復帰形保護デバイスをもつモータは、
       最初の3日間又は次の条件で一定間隔で温度を記録する。
         ・⼿動復帰形保護デバイスをもつモータ:最初の10回の運転中
         ・復帰しない保護デバイスをもつモータ:保護デバイスが作動するまで
    (b)「耐電圧試験」を行う

  (3)判定基準
    (a)温度は、表「モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)」の規定値を超えないこと。
    (b)モータケースへの絶縁破壊⼜はモータ絶縁物の過⼤な劣化を含む恒久損傷が⽣じることなく、
       保護デバイスが確実に作動すること。
    (c)次の場合、モータに恒久損傷が⽣じたとみなす。
        ・激しい⼜は⻑時間にわたって⽣じた煙⼜は有炎燃焼
        ・コンデンサ、始動継電器などの附属コンポーネントの電気的故障⼜は機械的故障
        ・絶縁物の剝離、ぜい化⼜は炭化
    (d)絶縁物の変⾊は許容する。
       但し、巻線を親指でこすったときに、絶縁物の剝離⼜は材料⾃体が外れるような炭化・ぜい化がないこと
    (e)「耐電圧試験」に適合すること。


6.⼆次回路に⽤いる直流モータに対する過負荷運転試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.6項、B.6.1項、B.6.2項、B.6.3項、B.6.4項

  (1)試験対象
       過負荷が⽣じる恐れがあると判断できる場合に限り。
         (例)電⼦駆動回路で駆動電流を⼀定にしている場合は、この試験を⾏わなくてもよい。

  (2)適用試験
     (a)次の場合、代替え試験を用いることができる
          ・モータ⼨法が⼩さい
          ・構造が通常と異なるために正確な温度測定を⾏うことが困難な場合
     (b)モータ動作電圧がピーク42.4V⼜は直流60Vを超える場合は、試験後、「耐電圧試験」を行う
          ・モータを室温に戻す
          ・試験電圧:規定値の60%とする

  (3)試験方法
     (a)モータに通常負荷をかけて動作させる。
     (b)モータへの供給電圧は最初の値にしたまま、負荷を徐々に増⼤させて、段階的に電流を増加させる。
     (c)定常状態に達した後、負荷を再び増⼤する。
     (d)過負荷保護デバイスが作動するまで⼜は巻線が断線するまで、段階的に負荷を増⼤していく。
     (e)各段階で、温度が⼀定になったときのモータ巻線の温度を測定する。

  (4)判定基準
     (a)最⾼温度は、表「過負荷運転試験時の許容温度の限度値」の規定値を超えないこと
     (b)「耐電圧試験」に適合すること。

  (5)代替え試験
     (a)1枚の包装⽤ティシュで覆った⽊台の上にモータを置く
     (b)1 枚のチーズクロスでモータを覆う。
     (c)判定基準:包装⽤ティシュ⼜はチーズクロスが着⽕しないこと


7.⼆次回路に⽤いる直流モータに対する回転⼦拘束過負荷試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.7項、B.7.1項、B.7.2項、B.7.3項、B.7.4項

  (1)適用試験
     (a)次の場合、代替え試験でもよい
          ・モータ⼨法が⼩さい
          ・構造が通常とは異なるために正確な温度測定を⾏うことが困難な場合

     (b)モータ動作電圧がピーク42.4V⼜は直流60Vを超える場、試験終了後にモータを室温に戻した後で
        「耐電圧試験」を行う

         試験電圧は、規定値の60%とする。

  (2)試験方法
     (a)使⽤時の電圧で動作させる
     (b)7時間⼜は定常状態に達するまでのいずれか⻑い⽅の時間、回転⼦を拘束する。
        但し、モータ巻線が開放するか⼜は恒久的にモータへ電⼒が供給されなくなった場合は、試験を終了する。

  (3)判定基準
     (a)温度は、表「モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)」の規定値を超えないこと
     (b)「耐電圧試験」に適合すること。

  (4)代替え試験方法
     (a)1枚の包装⽤ティシュで覆った⽊台の上にモータを置く。
     (b)モータを1枚の約40g/m2の漂⽩した綿製のチーズクロスで覆う。
     (c)使⽤時の電圧で、7時間⼜は定常状態に達するまでのいずれか⻑い⽅の時間、回転⼦を拘束し動作させる。
        但し、モータ巻線が開放するか⼜は永久的にモータへ電⼒が供給されなくなった場合は、試験を終了する。
     (d)判定基準:包装⽤ティシュ⼜はチーズクロスが着⽕しないこと


8.コンデンサをもつモータに対する試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.8項

  (1)対象:進相コンデンサをもつモータ

  (2)試験方法
      コンデンサを短絡・開放いずれか不利になる状態で回転⼦を拘束する。
      コンデンサが短絡し続ける故障を⽣じないように設計する場合、短絡試験は⾏わない。

  (3)判定基準
      温度は、表「モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)」の規定値を超えないこと


9.三相モータに対する試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.9項

  (1)適用
       電源が⼀相以上⽋相した場合に、回路制御で、モータへの電源供給しない場合は適用を除外する。

  (2)試験方法
     (a)⼀相を結線しない状態で通常負荷をかける
     (b)機器内で三相電源の各相を⼀度に⼀相ずつ⽋相させて、モータの試験を⾏う。

  (3)判定基準
      温度は、表「モータ巻線の許容温度限度値(過負荷運転試験の場合は除く)」の規定値を超えないこと


10.直巻モータに対する試験
    【適用規格】JIS C6950-1:2016 附属書B.10項

  (1)試験方法
       最⼩負荷をかけて、定格電圧の130%で1分間動作させる。

  (2)判定基準
       巻線及び接続部に緩みが⽣じることがなく、この規格でいう危険が⽣じないこと









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