空間距離及び沿面距離を測定するときは、対象箇所の状態によって厳しさが異なってきます。
対象箇所の状態を汚損度、トラッキング指数で規定しています。
JIS C60664-1から抜粋して規定されています。
1.汚損と絶縁 (IEC-J60335-1(H27) 附属書M)
(1)ミクロ環境が絶縁への汚損の影響を決定するが、ミクロ環境を考える時、マクロ環境を考慮しなければならない。
(例)外郭、カプセル内収納又は密封シーリングは、その絶縁の汚損を減らす手段になり得るが、
機器が結露にさらされるときや通常使用で機器自身が汚損因子を発生するときは、効果がない場合がある。
(2)空間距離が小さい場合、固体粒子、塵埃及び水により、完全に短絡することがある。
従って、汚損がミクロ環境で存在する場合、汚損度に応じて最小空間距離を規定する。
(3)一般に、湿気があると導電性を帯びるようになる。汚染水、すす、金属又は炭素のダストで引き起こされる汚損は、
本質的に導電性を帯びる。
2.家庭用機器 (IEC-J60335-1(H27) 附属書M、29.2項)
汚損度 | 定義 |
---|---|
1 | どのような汚損も発生しない、又は乾燥した非導電性の汚損が発生するだけの場合。 汚損は、どのような影響も及ぼさない |
2 | 非導電性の汚損だけが発生する。 このとき、結露によって一時的な導電性をもつ状態が偶発的に発生することが予想されてもよい。 |
3 | 導電性の汚損が発生する、又は乾燥した非導電性の汚損が発生し、予想される結露で汚損は導電性になる。 |
4 | 汚損は、導電性のほこり又は雨若しくは雪によって引き起こされる、永続的な導電性を発生させる 通常、家電機器に適用できない |
以下を除き、汚損度2 を適用する。
・絶縁保護に対する予防措置がある場合は汚損度1を適用する。
・導電性の汚れを伴う絶縁は、汚損度3を適用する。
3.情報機器 (IEC60950-1 (H29) 2.10.1.2項)
汚損度 | 定義 |
---|---|
1 | 汚損がない、⼜は乾燥した⾮導電性の汚損だけに適⽤する。汚損による影響はない。 通常、塵埃及び湿気が⼊らないようにコンポーネント及び部分組⽴品を包み込む⼜は密封することによって適切に囲うことで達成される |
2 | ⾮導電性の汚損で、時折の結露によって⼀時的に導電性になる可能性がある場合に限り適⽤する。⼀般に、この規格の適⽤範囲内の機器に当てはまる。 |
3 | 機器内部で局所的に導電性の汚損にさらされる場合、⼜は予期される結露によって導電性となるおそれのある乾燥した⾮導電性の汚損にさらされる場合に適⽤する |
4.AV機器 (IEC-J60065(2019) 13.1項)
汚損度 | 定義 |
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1 | ほこり及び湿気が⼊らないように密閉した部品及び組⽴品の場合 |
2 | ⼀般に、この規格の適⽤範囲内の機器の場合 |
3 | 機器内の部分的な内部環境、又は機器の設置場所での外部環境に、 ・導電性の汚損 ・結露すると導電性になる可能性のある乾燥した⾮導電性の汚損 が有る場合 |
JIS C60664-1より抜粋し、材料グループと比較トラッキング指数(CTI)との関係は、次のように規定されています。
表4-3-8-4 材料グループとCTI値
1.家庭用機器 (J60335-1(H27) 29.2項)
ある材料のCTI値が不明の場合は、材料グループを決定するために附属書Nに従った保証トラッキング指数試験を、
規定のCTIの値で行う。
2.情報機器 (IEC-J60950-1(H29) 2.10.4.2項)、AV機器(IEC60065(2019) 13.4項)
(1)材料グループが不明の場合、材料グループⅢbとみなす。
(2)CTI:175 以上必要な場合でデータがないときは、JIS C2134規定の保証トラッキング指数(PTI)試験で
確定できる。
PTIが、グループCTI規定値の下限値以上の場合は、そのグループに該当するものとみなす。