技術基準:J60335-1(家庭用機器) 耐着火性・耐燃焼性試験概要
家庭用機器 
(IEC-J60335-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

情報機器
(IEC-J60950-1)

1.表示・説明書
2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC

AV機器
(IEC-J60065)

1.表示・説明書

2.構造
3.電気性能
4.異常試験、その他
5.EMC
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はじめに
  ここでは、主に耐着火性試験、耐燃焼性試験について、説明します。
  3版H14の内容をカバーできているため、条項が整備されているH27版にて説明を行います
    1.耐着火性試験、耐燃焼性試験の共通事項
    2.全ての機器に適用する グローワイヤー試験(550℃)
    3.人の注意が行き届く機器の試験
    4.人の注意が行き届かない機器の試験
    5.PCBに適用する試験
  について、説明します。

耐着火性試験、耐燃焼性試験の共通事項


  【適用規則】H27版:30.2項 附属書B 30.2項追加  3版H14:30.2項 附属書B B30.2項

1.試験対象・非対象
   (1)非金属製の部分を試験対象とする。
   (2)次の部分には適用しない。
       ・重さが0.5g以下の部分。
        但し、3mm以内にある影響の少ない部分が集積し、機器内部で生じた炎が次から次へ拡がる恐れがない場合に
        限る
       ・装飾用飾り部分、ノブその他機器内部で発生した炎で着火したり、炎を広げたりする恐れの無い部分
       ・配線の絶縁物

2.適用する試験
   (1)全ての機器:30.2.1項 (グローワイヤー試験(550℃))
   (2)人の注意が行き届く機器:30.2.2項
   (3)人の注意が行き届かない機器:30.2.3項
        *遠隔操作用機器は、人の注意が行き届かない状態で動作する機器とみなす
   (4)PCBの基材:30.2.4項(ニールドフレーム試験)
   (5)附属書B(充電式電池を電源とする機器)を適用する機器は次のとおりとする
       ・充電中通電される部分:30.2項
       ・その他の部分:H27版:第2部の個別規格   3版H14:30.2.3項

3.共通試験条件
   (1)機器から取り外した非金属性材料の部分に行う。
   (2)グローワイヤ試験を行うときは、通常使用時と同じ向きに置く



グローワイヤー試験(550℃)


  【適用規則】H27版:30.2.1項   3版H14:30.2.1項

1.個別試験条件
  (1)JIS C60695-2-11に従う
  (2)試料の厚さは、該当部分の厚さ以下で、JIS C60695-2-12規定の最も近い優先値に等しくすること。
     【JIS C 60695-2-12の優先値】
       0.4 mm±0.05 mm、0.75 mm±0.1 mm、1.5 mm±0.1 mm、3.0 mm±0.2 mm、6.0 mm±0.4 mm
  (3)次のものは適用外とする。
     ・550 ℃以上のグローワイヤ燃焼指数の材料
     ・JIS C 60695-11-10に従い、HB40以上の材料
  (4)分類のために用いた試料の厚さは、機器の該当部分より厚いものでないこと
  (5)柔らかい、スポンジ状の材料のようにグローワイヤ試験ができない部分(発泡材料)は、JIS K7241規定の要求事項に
     適合すること。

人の注意が行き届く機器に対する試験


  【適用規則】H27版:30.2.2項  3版H14:30.2.2項

1.試験の対象・非対象
  (1)導電接続部を保持する非金属材料部及びその接続部から3mm以内にある非金属部分。
     スイッチ接点のような部品の中にある接点は接続部とみなせる
  (2)次のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)以上をもつと分類される材料の部分は試験を免除する
     ・通常動作で0.5Aを超える電流が流れる接続部:750 ℃
     ・その他の接続部:650 ℃
  (3)次のいずれかを満たす小部品。但し、分類のために用いた試料の厚さは、機器の該当部分より厚いものでないこと。
     ・750℃又は650℃以上のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)をもつ材料で構成されている。
     ・附属書Eのニードルフレーム試験(NFT)に適合する。
     ・JIS C 60695-11-10に従い、V-0又はV-1材料で構成されている。
  (4)その他の適用除外機器
     ・手持形機器
     ・手又は足でスイッチを押し続けなければならない機器
     ・手で連続的に負荷をかける機器
     ・溶接接続部を保持する部分及びそれらの接続部から3mm以内の部分
     ・小電力回路の接続部を保持する部分及びそれらの接続部から3mm以内の部分
     ・PWB上の半田接続部及びそれらの接続部から3mm以内の部分
     ・PWB上の電源回路に直接接続していないダイオード、トランジスタ、抵抗器、インダクタ、集積回路、
      コンデンサ等の小部品の接続部及びそれらの接続部から3mm以内の部分  

2.試験条件
  (1)グローワイヤーの先端は、接続部の近傍の部分に当てる
  (2)導電接続部から3mm以内にあるが、異なる材料で接続部から遮蔽する場合、
     グローワイヤーの先端は、被遮蔽材料を所定の位置に置いた状態で遮蔽材料に当てて実施する
  (3)該当部分に対し±0.1mmの試料でグローワイヤ着火指数(GWFI)が得られない場合、試料の厚さは、
     該当部分の厚さ以下で、JIS C60695-2-12に規定する最も近い優先値に等しくなければならない。
  (4)試験温度は、次のとおりとする。
     ・通常動作で0.5 A を超える電流が流れる接続部:750 ℃
     ・その他の接続部:650 ℃


人の注意が行き届かない状態で使用する機器


  
【適用規則】H27版:30.2.3項、30.2.3.1項、30.2.3.2項   3版H14:

A.試験の非対象
    次の箇所は試験の非対象とする
      ・溶接接続部を保持する部分及びそれらの接続部から3mm以内の部分
      ・小電力回路の接続部を保持する部分及びそれらの接続部から3mm以内の部分
      ・PWB上の半田接続部及びそれらの接続部から3mm以内の部分
      ・PCB上の電源回路に直接接続していないダイオード、トランジスタ、抵抗器、インダクタ、集積回路、
       コンデンサ等の小部品の接続部及びそれらの接続部から3mm以内の部分



B.850℃のグローワイヤー試験

 1.試験の対象・非対象
    (1)次の部分を対象とする。
        ・通常動作で0.2Aを超える電流が流れる接続部を保持する非金属材料部分
        ・その接続部から3mm以内にある小部品を除く非金属材料
        ・スイッチ接点のような部品の中にある接点は、接続部とみなせる。
    (2)850℃以上のグローワイヤ燃焼指数をもつ材料部分は非対象とする。

 2.試験条件
    (1)JIS C60695-2-11に従い、850℃のグローワイヤ試験を行う。
    (2)非金属材料が導電接続部から3mm以内にあり異なる材料で接続部から遮蔽する場合、
       グローワイヤ先端は、被遮蔽材料を所定の位置に置いた状態で遮蔽材料に当て行う。
    (3)試料の厚さは、該当部分の厚さ以下のJIS C 60695-2-12 に規定する最も近い優先値に等しいこと



C.その他のグローワイヤー試験
 1.試験対象
    (1)次の箇所を試験対象とする
        ・接続部を保持する非金属材料の部分及びその接続部から3mm以内の距離にある非金属材料。
        ・スイッチ接点のような部品の中にある接点は、接続部とみなせる。
    (2)次の両方又は一方を満たす材料は、750℃又は650℃のグローワイヤ試験は行わない。
       ・JIS C 60695-2-13に従い、次のグローワイヤ着火温度(GWIT)以上の場合
         ・通常動作で0.2Aを超える電流が流れる部分の接続部 :775 ℃
         ・その他の部分                  :675 ℃
        ・JIS C 60695-2-12 に従い、次のグローワイヤ燃焼指数(GWFI)以上の場合
         ・通常動作で0.2 A を超える電流が流れる部分の接続部 :750 ℃
         ・その他の部分                   :650 ℃
    (3)750℃又は650℃の該当する試験の厳しさにおける試験は、次のいずれかを満たす小部品にも適用しない
       ・775℃以上又は675℃以上のグローワイヤ着火温度をもつ材料で構成する。
       ・750℃以上又は650℃以上のグローワイヤ燃焼指数をもつ材料で構成する。
       ・附属書Eのニードルフレーム試験に適合する。
       ・JIS C60695-11-10に従い、V-0又はV-1に分類される材料で構成する。

 2.試験条件
   (1)JIS C 60695-2-11のグローワイヤ試験を行う。
   (2) 試験温度は、次による。
       ・通常動作で0.2Aを超える電流が流れる部分の接続部:750 ℃
       ・その他の部分                 :650 ℃
   (3)非金属材料が導電接続部から3mm以内にあり異なる材料で接続部から遮蔽する場合、
      グローワイヤの先端は被遮蔽材料を所定の位置に置いた状態で遮蔽材料に当てて実施する。
   (4)グローワイヤ着火温度(GWIT)、グローワイヤ燃焼指数が得られない場合の試料の厚さは、該当部分の厚さ以下の
      JIS C60695-2-13、JIS C60695-2-12に規定する最も近い優先値に等しいこと

 3.グローワイヤ試験に適合するが、発火がある場合は、次のとおりとする。
   (1)附属書Eのニードルフレーム試験を、直径20mmで高さ50mmの垂直円筒の包絡線内にある非金属部に適用する。
      垂直円筒は、接続区域の中心の上で、かつ、導電接続部を支持する非金属部の上端に位置する。
   (2)次のいずれかに該当する場合は、そのような導電接続部から3mm以内の距離にある非金属材料の部分に適用する。
       ・750℃又は650℃の該当するグローワイヤ試験に耐えるが、炎が試験中に2秒より長く残存する。
       ・750℃以上又は650℃以上の該当するグローワイヤ燃焼指数をもつ材料で構成する。
       ・750℃以上又は650℃以上の該当するグローワイヤ燃焼指数をもつ材料で構成する小部品。
       ・附属書Eのニードルフレーム試験を適用する小部品。
       ・V0又はV1の材料の分類が適用される小部品
   (3)次のいずれかに該当する場合、円筒内の小部品を含む非金属部には適用しない。
      分類のために用いた試料の厚さは、機器の該当部分より厚いものであってはならない。
       ・775℃以上又は675℃以上の該当するグローワイヤ着火温度をもつ部分。
       ・JIS C60695-11-10に従い、V-0又はV-1に分類される材料で構成される部分。
       ・附属書Eのニードルフレーム試験を満足するか又はJIS C60695-11-10に従い、V-0又はV1-に分類される材料で
        構成する防火隔壁で保護する部分。


PCBに適用する試験 (ニールドフレーム試験)


  
【適用規則】H27版:30.2.4項   3版H14:

1.試験箇所

 (1)プリント回路基板。
 (2)次の部分には行わない。但し、分類のために用いた試料の厚さは、プリント回路板より厚いものであってはならない。
    ・小電力回路のプリント回路板
    ・次の内部で用いるプリント回路板
      炎又は火の粉を遮る金属外郭、手持形機器、手・足でスイッチを押し続けなければならない機器
      手で連続的に負荷をかける機器
    ・材料が、V-0又はVTM-0として分類されている基板。

2.試験条件
 (1)炎は、基板を通常使用の姿勢に置いたとき、基板の中で最も熱伝導による放熱作用が働きにくい端面に当てる。
 (2)通常、部品が付いたプリント回路板で行う。ただし、部品の着火は無視する。


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